全社リモートワークの実践者に聞く、リモートワーク・在宅勤務のオススメツールとは?

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新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、緊急事態宣言が延長されました。ウイルスの封じ込めに成功し、真に事態を収束させられるのがいつになるのか、誰にも読めない状況になっています。普段オフィスで仕事をしていたワーカーの中には、慣れないリモート業務でストレスを感じたり、パフォーマンスが落ちる人も多くいるのだと思います。


リモートワークを快適に、ストレスなく、そしてハイパフォーマンスで実施するために必要なツールは何なのか。感染症流行の4年近く前からオフィスを廃止し、全社員フルリモート体制に移行していた株式会社ソニックガーデンの代表取締役社長・倉貫義人氏にお話を伺いました。
(倉貫氏インタビュー「リモートワークだとコミュニケーションが不安?その解消に「ザッソウ」という提案。」

【プロフィール】
倉貫 義人
株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長 Founder
1974年京都生まれ。立命館大学大学院卒業後、TIS(旧 東洋情報システム)に入社。同社の基盤技術センターの立ち上げや社内SNS「SKIP」の開発と社内展開、オープンソース化などに携わる。2009年にSKIP事業を専門で行う社内ベンチャー「SonicGarden」を立ち上げる。2011年にMBOを行い、株式会社ソニックガーデンを創業。

リモートワーク導入時に陥りがちなトラブル

リモートワークを推進する中で困ったことはありましたか?

導入に向けてシステムや環境を整える中で、いろんな問題が起きました。2012年に最初の在宅勤務制度を導入したとき、いつでも気軽に話しかけられるようパソコン1台をオフィスに導入してテレビ会議システムを繋ぎっぱなしにしておきました。

しかし、在宅社員が2人になり、2名が同時にテレビ会議システムにアクセスすると、うまくいかなくなりました。混線してしまって業務に支障が出たんです。

次にチャットで在宅社員とやり取りをしましたが、パソコンの画面上に顔が見えないので表情が見えなくなり、存在感を感じなくなってしまいました。気軽に相談も出来ないし、雑談もできなくて、一緒に仕事をしている感じがしなくなりましたね。

ツールをたくさん試して、その中から良かったものを導入したり、場合によっては自社でツールを開発したりして一つずつ問題を解決していきました。

ツールを導入する時、どんな基準を設けていましたか?

本質的に生産性が上がるかどうかを基準にしていました。過去にVR(バーチャルリアリティー)を使った会議システムを試したことがありました。ヘッドマウントディスプレイを装着して会議をする仕組みで、みんなバラバラの場所にいるのに同じオフィスの会議室にいるような雰囲気で面白かったんです。

しかし、わざわざヘッドマウントディスプレイをつけて、会議をするメリットはあまり感じませんでした。顔が見えて声が聞き取れれば問題ないのではという結論になり、導入をやめました。

リモートワークを導入する企業が陥りがちな悩みとしては何がありますか?

コミュニケーションが取りづらくなるのではと懸念する企業さんは多いですね。また、各人のタスクが見えづらくなるため、チームメンバーをマネジメントできなくなるのではといった声もよく聞きます。

物理的に、オフィスがなくなることで郵便が届かなくなったり、固定電話が取れなくなったりと、これまで当たり前にできていたことができなくなることへの不安も大きいようです。

コミュニケーションを円滑にするツール

多くの企業が懸念しているコミュニケーションの問題を解決する、オススメのツールを教えてください

テレワークは顔の見えるコミュニケーションが必須です。弊社はテレビ会議では「Zoom」を使っています。パソコンやスマートフォンで気軽にオンラインでビジネスミーティングを開くことができます。ネットワークが安定しているのが大きいですね。ネットワークが安定しているから、画像や音声の品質も安定している。声が遅れて聞こえることも殆どありません。これまで使っていたアプリ連携する仕組みが充実しているのも特徴です。

最大の特徴としては導入のハードルがすごく低いことが挙げられます。Zoomはパソコンやスマホにアプリをインストールしておくだけで相手から送られたURLをクリックすればすぐに会議に参加できるので、かなり楽です。テレビ会議に抵抗がある人でも1回やると慣れてしまうんですよね。「次もZoomがいいです」と言ってくださるケースも増えています。

▶︎Zoom製品ページ:https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

テレビ会議する際にはその音質も大事です。会話をする時にノイズが入って音声が聞きにくいだけで、テレビ会議を早く終わらせたくなる気持ちになってしまうからです。テレビ会議は画質より音質の方が重要になりますね。

そこで私たちは、ノイズを消すための「Krisp」というツールも使っています。Krispを使うと、Zoomをするときの自分側も相手側の両方のノイズを消してくれるので、非常に便利です。

ワイヤレスイヤホンの「Air Pods Pro」を使うと、周りのノイズも消せるのでさらに便利です。KrispとAir Pods Proを組み合わせることによって非常にクリアに音声が伝わります。

▶︎Krisp製品ページ:https://jp.vcube.com/service/krisp
▶︎Air Pods Pro製品ページ:https://www.apple.com/jp/airpods-pro/

タスク管理に便利なツール

部下や同僚のマネジメントがしづらくなるという課題に対してはいかがでしょうか?

タスク管理ツールの「Trello」です。チームで仕事するときは、チーム内のお互いのタスクが見えていないといけません。リモートワークだと特に、相手が何をしているのかが物理的に見えなくなるので、お互いが何の仕事をしていて何のプロジェクトに取り組んでいるのが見える化することは大事です。Trelloはカードやふせんのような形で自分のタスクを整理し、メンバーと共有できます。

またプロジェクト管理ツールとしては「backlog」もオススメです。このツールを使えば、社内メンバー、取引先、代理店担当者とプロジェクトメンバー全員で進捗状況を管理できます。ガントチャート形式でタスクが見えるため、いつまでに何をしなければならないのかもわかりやすいです。

▶︎Trello製品ページ:https://trello.com/ja/home
▶︎backlog製品ページ:https://backlog.com/ja/

電話対応や郵便物の受け取りに便利なサービスや仕組み

オフィスがないと固定電話がなくて不便ではありませんか?

基本的にお客さんとのやり取りはオンラインツール(Zoomやメッセンジャー)で完結します。会社の電話番号もありますが、かかってくるのは基本的に他の会社からの営業だけです。営業電話の対応は時間的なコストも大きいので電話の設置をやめてもいいんですけど、本当に重要な電話もあるかもしれないので、やめるわけにもいかないんです。

そこで導入したのが電話代行サービスです。例えば外部の方が会社の番号にかけたら、「○月○日○時に『倉貫さんいらっしゃいますか?』と女性から連絡がありました」と、私のチャットに通知が来る仕組みです。通知に対し、私は必要な電話だけ折り返せばいいので、便利ですね。

郵便物の受け取りはどう対処していますか?

郵便物を管理、保管する仕組みを作ったので特に困っていません。郵便物を受け取るために都内にマンションを借りて、そこに届くようにしています。新型コロナウイルス感染症の流行前までは、会社で雇ったパートさんに週に2日ほどマンションに足を運んでもらって郵便物の写真を撮ってもらって、転送してもらっていました。

自社で作った仮想オフィスツール

様々なツールに加え「仮想オフィス」の開発を自社で行ったそうですが、どんなものなのか教えてください。

仮想オフィスRemottyは、オフィスで行なっていたようなコミュニケーションをオンラインで再現するする仕組みです。ウェブ上にある「仮想オフィス」にログインして(これを出社と呼んでいます)、仮想オフィス上のチャットや掲示板などを使い、誰かに話しかけたり、グループで話し合ったりすることができます。また、誰かと誰かの会話を見て面白そうだと思ったら途中から参加することもできます。

PC前の社員の様子も2分おきに更新され、相手が今仕事中、離席中、電話中などどんな状態かわかるので、安心して話しかけることができます。

開発した理由は、試行錯誤しながら全社リモートワークを数年かけて進めていくうちに、オフィスが社員同士で雑談や相談するための場としてすごく重要だったことに気づいたからです。

リアルとバーチャルのいいところを取り入れたという意味で「オフィスの再発明」をしたという自負はあります。サービスとして他社にも提供させていただいていて、導入してくださる会社さんも結構いるんです。

▶︎Remotty製品ページ:https://www.remotty.net/

組織の課題や状況に合わせて最善のツールを

最後に、リモートワーク導入を検討している企業にメッセージをお願いします。

新型コロナウイルスへの対応でリモートワーク導入を進める企業さんも多いと思いますが、これを機にウイルス収束後も続けることを検討しても良いのではと思います。

弊社は仮想オフィスを使ってリモートワークを導入していますが、社員のパフォーマンスも上がりましたし、働きがいを持って業務に取り組んでくれています。

新型コロナウイルス感染症の流行前、社員の中には仕事をしながら、アジアを2~3カ月バックパックで旅行したり、オーストラリアを一周したり、シベリア鉄道でロシアを横断している人もいました。リモートワーク導入直後は「自宅で仕事ができる」という発想でしたが、「仮想オフィスに出社すれば、どこにいても良い」と発想が逆転し、働き方だけでなく、生き方も選べるようになっています。

テレワーク環境をよりよくしたい企業さまは、ご紹介したツールを試しつつ、各々の組織の課題や状況に合わせて、最善のツールを選んでもらえればと思います。各社、各ワーカーの労働環境や業務の種類に合ったツールが導入できれば働き方、生産性の改善につながっていくと思います。