コワーキングスペースとは?シェアオフィスとの違いやそれぞれのメリット、デメリットを紹介

2025.10.31
コラム

近年、多様な働き方が広がるなかで、コワーキングスペースやシェアオフィスといったワークスペースが注目を集めています。これらのワークスペースは初期費用や維持費を抑えつつ、柔軟な働き方を実現できる点が特徴です。

この記事では、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いや利用するメリット・デメリット、ワークスペースを選ぶポイントについて解説します。自分に合うワークスペースを見つけるための参考にしてみてください。

コワーキングスペースとは

コワーキングは、接頭辞で「共同の・共通の」という意味を持つ「Co」と、「働く」を意味する「work」を組み合わせて作られた言葉です。すなわちコワーキングスペースとは、さまざまな職業や勤務形態の人たちが同じ場所を共有して仕事を行なうための場所を指します。

一般的に個室ではなく、壁や仕切りのない開放的なスペースとなっていることが多く、カフェのような自由な雰囲気のなかで仕事ができる点が特徴です。利用者が一つの大きな作業場をシェアしているようなイメージです。

コワーキングの考え方は2005年頃にサンフランシスコで誕生したとされ、日本では2010年頃から普及が進みました。働き方改革や新型コロナウイルスの流行にともなうリモートワークの普及により、近年はコワーキングスペースの数が全国的に増加しています。

コワーキングスペースとシェアオフィスの違いは?

コワーキングスペースとシェアオフィスは似た意味を持つ言葉ですが、利用目的や空間の構成に違いがあります。ここでは、「利用目的」「仕事環境」「料金」の観点からそれぞれの違いを解説します。

利用目的の違い

コワーキングスペースとシェアオフィスは、どちらも複数の方がワークスペースを共有するオフィス形態であることに変わりありません。ただし、利用目的に違いを見いだせます。

コワーキングスペースは仕事以外にも異業種交流を目的とする利用者が多く、イベントやセミナーが開催されることもあります。そのため、さまざまな職種や企業の人と出会い、新たなビジネスチャンスやアイデアを見つけたい人に適しているといえるでしょう。

一方で、シェアオフィスはどちらかといえば個人が集中して作業する目的で利用される傾向にあります。そのため、プライベートな空間で静かに作業を進めたい人に適しています。

仕事スペースの環境の違い

コワーキングスペースには専用のデスクはなく、空いている席を自由に利用可能な「フリーアドレス」と呼ばれるオフィススタイルが採用されているケースが一般的です。

Wi-Fi環境やコピー機など仕事に必要な基本的な設備はもちろん、ドリンクバーを設置しているところもあります。カフェが併設されているところもあり、リラックスした雰囲気で仕事ができる環境となっています。

一方で、シェアオフィスは共有スペースのほかに半個室や完全個室が用意されており、通常のオフィスと同じような使い方ができる点が特徴です。

どちらを利用するかで迷ったときは、「一人で静かに仕事をしたい」「ほかの利用者とコミュニケーションを図りたい」など、目的に応じて選択するのも一つの手です。

料金の違い

コワーキングスペースの一時利用(ドロップイン)料金は、1時間当たり数百円~1,000円程度です。1日利用の場合は1,500円~5,000円、月額契約では首都圏で1万5,000円~3万円が相場となっています。

シェアオフィスの利用料金も大きくは変わりませんが、施設の立地やサービス内容などによって料金体系は異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

コワーキングスペースのメリット

コワーキングスペースには、費用面や人とのつながりにおいて多くのメリットがあります。おもなメリットは以下のとおりです。

オフィスの費用を削減できる

コワーキングスペースを利用する際、一般的な賃貸オフィスのような数年単位の長期契約は不要です。光熱費や通信費などを含めた維持費も利用料に含まれているため、コワーキングスペースを利用すればオフィスを借りるときにかかる費用を大幅に削減できます。

1ヵ月ごとなど希望に応じて柔軟な契約も可能なため、無駄なコストを抑えやすいのが特徴です。

コミュニケーションを取りやすい

コワーキングスペースのメリットとして、利用者同士のコミュニケーションが取りやすい点も挙げられます。

ワークスペースにはさまざまな業種や年代の利用者が集まるため、これまで接点のなかった人たちと出会い、交流できる機会が創出されます。交流を通じて新しいビジネスチャンスやアイデアが生まれることもあるでしょう。そのため、コワーキングスペースは人脈を広げたい人にもおすすめです。

イベント、セミナーでスキルアップにつなげられる

多くのコワーキングスペースでは利用者同士の交流を促す目的で、勉強会やセミナー、交流イベントを定期的に開催しています。

これらのイベントに参加することで、新しい知識を得られたり、利用者同士で知見を深め合ったりできるなど、自分のスキルレベルを高められる点もメリットです。

コワーキングスペースのデメリット

コワーキングスペースには多くのメリットがある一方で、人によってはマイナスと捉えられる側面もあります。おもなデメリットは以下のとおりです。

集中できない場合がある

コワーキングスペースには交流目的の利用者もいるため、周囲の会話が気になって仕事に集中できない場合があります。

静かな環境で作業したい場合は、個室ブースのあるところを選ぶとよいでしょう。

座席を確保できないことがある

規模が小さい、あるいは人気のコワーキングスペースを利用する際には時間帯によって席が埋まってしまい、好きな場所で作業できないことがあります。

そのため、コワーキングスペースの利用を検討する場合は、事前に見学して混雑具合を確認しておくと安心です。確実に席を確保したいのなら、専用スペースを契約できる施設を選ぶとよいでしょう。

セキュリティ面で不安が残る

コワーキングスペースには不特定多数の人が出入りするため、情報漏洩のリスクがともないます。

特に共有スペースで作業する際は、パソコン画面をのぞき見られたり、機器を紛失したりするリスクに注意が必要です。コワーキングスペースを利用する際には、情報漏洩対策を徹底するようにしましょう。

コワーキングスペースによっては監視カメラの設置や、予約制による利用者数の制限などのセキュリティ対策を講じている施設もありますが、自分でも注意することが大切です。

シェアオフィスのメリット

シェアオフィスには集中して作業したい人やオフィス費用を抑えたい企業にとって多くのメリットがあります。ここでは、シェアオフィスを利用するメリットを見ていきましょう。

集中しやすい環境が整えられている

そもそもシェアオフィスは、複数の企業が一つのワークスペースを共有することから発展した施設です。コワーキングスペースのように交流をおもな目的としていないため、仕事に集中しやすい環境が整っています。

また、シェアオフィスには個室だけでなく共有スペースが用意されている点も特徴です。そのため、集中して作業したいときは個室、ほかの利用者と交流したいときは共有スペースを利用するといったように、用途に合わせて使い分けられる点もメリットです。

オフィスの費用を削減できる

シェアオフィスを利用するメリットとして、オフィスを借りるときよりも費用を大幅に抑えられる点が挙げられます。コワーキングスペースと同じく、一般的なオフィスの賃料に比べて安価で利用できるうえ、光熱費や通信費が基本料金に含まれているため、毎月の固定費を削減できる点は大きな魅力です。

また、一般的なオフィスの場合、従業員が増えた際にはより広いスペースのオフィスに移転する必要があり、コストも発生します。しかし、シェアオフィスなら利用人数に応じて契約内容を見直せばよいだけなので、余計な手間や移転費用はかかりません。

作業場所の確保がしやすい

固定席があるシェアオフィスを選べば、席が埋まっていて使えない心配がありません。フリーアドレス制のコワーキングスペースとは違い、自分専用の作業スペースとして使えるため、モニターや書類などの荷物を置いておくことも可能です。固定席なら外出時に荷物を持ち運ぶ必要もないため、身軽に移動できるのもメリットです。

シェアオフィスのデメリット

コワーキングスペース同様、シェアオフィスにも特有のデメリットが存在するのが実情です。そのため、利用を検討する際は、以下のデメリットを踏まえて自分に合っているかどうかを判断することが大切です。

セキュリティ面で不安が残る

シェアオフィスには、防犯カメラの設置やオートロックの導入などといったセキュリティ対策が施されています。しかし、複数の企業や個人が利用する仕組み上、盗み見、盗み聞きなどによる情報漏洩リスクには注意が必要です。

また、共用Wi-Fiを利用する際は、ネットワークへの不正アクセス防止、偽のアクセスポイントの監視などネットワークセキュリティ対策がきちんとなされているかの確認も欠かせません。

シェアオフィスを検討する際には、不審者の侵入を防ぐ物理的セキュリティ対策と情報漏洩を防ぐネットワークセキュリティ対策に取り組んでいるかに着目するとよいでしょう。

プライバシーの確保に限界がある

シェアオフィスで提供される個室のなかには、壁が天井まで届いていなかったり、隙間があったりすることがあります。そのため、会話の内容が隣の席に聞こえる、もしくはのぞき見されるなど、完全にプライバシーを守ることが難しい場合がある点にも注意が必要です。

機密情報を扱う場合や、顧客との電話でのやり取りが頻繁に発生するような仕事では、この点が問題になる可能性があります。

したがって業務上のプライバシーを確保したい場合は、完全に独立した空間が用意されている施設を選ぶとよいでしょう。

ワークスペースを決める際のポイント3選

ここでは、ワークスペースを決める際に確認したいポイントを3つ紹介します。

1. 料金体系と料金をチェック

ワークスペースを利用する際の料金体系は「月額料金」と、利用した時間に応じた料金を支払う「一時利用(ドロップイン)」の2種類です。

ワークスペースをどのような目的で、どのくらいの頻度で利用するのかを想定したうえで月額料金と一時利用の金額を比較し、最適な料金プランを選択しましょう。

2. 設備やサービス内容を確認する

提供されるサービスは施設により異なるため、設備や機能の充実度については事前に確認しておきましょう。

利用できるおもなサービスには、以下のようなものがあります。

・法人登記
・住所利用
・郵便物の発送・受取
・電話対応
・固定電話回線
・コピー機
・インターネット環境
・会議室
・ドリンクサービス

自分にとって必要なサービスを利用できるかどうかで施設を選ぶことが大切です。

3. 利便性を確認する

ワークスペースへの移動や取引先との打ち合わせなどを考慮したうえでアクセスしやすい立地にある施設を選ぶと、業務をより効率良く進められるようになります。

また、周辺施設を確認しておくことも大切です。例えば、ワークスペースの周辺にカフェなどの飲食店があると、打ち合わせに利用できて便利です。近くに公園などの施設があれば、仕事の休憩時間にリフレッシュすることもできるでしょう。

最終的には実際に施設に足を運び、自分の目で雰囲気や通いやすさを確かめてから決めることをおすすめします。

ワークスペースの利用を考えているなら多拠点型シェアオフィス「H¹T」がおすすめ

ワークスペースの利用を検討している方には、多拠点型シェアオフィス「H¹T」(エイチワンティー)がおすすめです。

「H¹T」は、これからの多様な働き方に対応するための柔軟な時間貸しワークスペースとして設計された多拠点型シェアオフィスです。企業の働き方改革をサポートするサービスとして幅広く活用されています。

入会金・年間費・月額固定費は無料です。15分110円から、必要なときだけ気軽にご利用いただけます。専用のアプリを通じて利用予約・変更・キャンセルをスムーズに行なえる点も特徴です。

2025年9月時点で、全国の主要都市に約300拠点(提携店含む)を展開しているため、出張などの際にも最寄りの拠点で普段どおり業務を進めていただけます。

また、スマートキーによる入退室や防犯カメラの設置、GPSによる入退室機能など、セキュリティ対策も万全です。機密性の高い情報を扱う業務や、頻繁な電話応対が必要な仕事でも安心して利用できます。

このように、「H¹T」はオンライン会議や打ち合わせ、集中作業、従業員の面接など、さまざまなシーンでご活用いただける多拠点型シェアオフィスとなっています。

野村不動産の多拠点型シェアオフィス

まとめ

コワーキングスペースとシェアオフィスはどちらもさまざまな人が共有して利用するワークスペースですが、それぞれ異なる特徴を持っています。

コワーキングスペースは、仕事以外に利用者同士の交流を目的とする人も多く、イベントやセミナーが開催されることもあります。また、専用のデスクを持たないフリーアドレス制を採用していることが一般的で、開放的な雰囲気で仕事を進められる点も特徴です。

一方、シェアオフィスはより仕事に集中することを目的として利用される傾向にあります。共有スペースのほかに半個室や完全個室が用意されているため、通常のオフィスと同じような使い方ができるのが特徴です。

どちらのワークスペースも初期費用や維持費を抑えながら、柔軟な働き方を実現するのに役立ちます。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分に合った施設を選ぶとよいでしょう。

シェアオフィスを利用したいとお考えの方は、全国で約6,500社・会員約50万人が利用する多拠点型シェアオフィス「H¹T」(エイチワンティー)をぜひご検討ください。