リモートワークとは?国内企業の導入状況、導入するメリットやデメリットを解説

リモートワークは新型コロナウイルスの流行にともない広く普及し、私たちの働き方を大きく変えました。リモートワークの導入には、企業にとって事業コストの削減や人材確保のしやすさ、従業員にとって通勤時間の削減やワークライフバランスの向上といったメリットがあります。
一方で、情報セキュリティや従業員の管理、コミュニケーション不足といった課題に直面することも少なくありません。そのため、リモートワークを導入する際には課題を踏まえた対策を事前に講じておくことが大切です。
この記事では、リモートワークに関する基本情報や働き方の種類、企業と従業員それぞれのメリット・デメリット、導入を成功させるポイントをわかりやすく解説します。リモートワークの導入や運用を検討している方は、ぜひご一読ください。
リモートワークとは?
まずは、リモートワークの基本的な概要を見ていきましょう。
リモートワークとテレワークとの違い
テレワークとは「Tele(遠い、離れたところ)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語です。厚生労働省では、「ICT(情報通信技術)を使い、場所や時間にとらわれない働き方」と定義しています。
一方で、リモートワークに明確な定義はなく、「定められた就業時間のなかで会社とは別の場所で働く」意味合いで用いられます。
ただし、両者はほぼ同じ意味合いで使われることが多く、大きな違いはありません。
出典:厚生労働省「テレワーク普及促進関連事業」
【2025年最新】国内企業におけるリモートワーク導入状況

総務省の調査によると、令和6年度にテレワークを導入している国内企業の割合は47.3%となりました。この割合は令和3年度の51.9%をピークに、令和4年度は51.7%、令和5年度は49.9%と減少しています。

また同調査によると、「新型コロナウイルス感染症への対応」としてテレワークを導入した企業の割合が令和5年度には全体の79.1%だったのに対し、令和6年度には66.0%と減少しました。テレワークを導入している国内企業の割合が減少したのは、新型コロナウイルスの流行が収まってきたことが理由の一つといえそうです。

一方で、テレワークの導入形態は在宅勤務90.9%、モバイルワーク32.4%、サテライトオフィス15.7%となっており、令和5年度からほぼ横ばいの結果となりました。

また、過去1年間で「テレワークをしたことがある」と回答した個人の割合が令和5年度に全体の27.3%だったのに対し、令和6年度には28.2%と微増しています。
こうした背景から、日本のフレキシブルオフィス(シェアオフィス、コワーキングスペースなど)の市場規模は全体的に拡大し続けているといえるでしょう。
引用:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」
おもなリモートワークの働き方は5種類

リモートワークの働き方には、おもに以下の5種類があります。
1. 在宅勤務
企業に雇用されている社員が、自宅を就業場所とする働き方です。オフィスへの出勤や顧客訪問、会議への参加などで外出することはなく、1日の業務をすべて自宅で行ないます。
在宅勤務では、集中して仕事を行なえる環境を整えやすい点がメリットです。
また、通勤時間を削減でき、移動にかかっていた時間をほかの用途に充てられる利点もあります。育児や介護などを行なうために自宅を長時間離れることが難しい人でも、離職せずにキャリアを続けられる点も特徴です。
2. モバイルワーク(モバイル勤務)
ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどのモバイル端末を使用し、移動中の交通機関や外出先の飲食店などで就業する働き方です。取引先のオフィスからモバイル端末を使用し、社内のデータにアクセスして業務をするようなケースも含まれます。
モバイルワークはオフィス外のさまざまな場所から社内の人間と連絡を取る、顧客と商談を進めるなど自由度の高い働き方ができるため、営業職など移動の多い職種に特に適しています。
また、オフィスに戻る必要がなくなるため、無駄な移動時間が減り、業務効率を高めることも可能です。身体的な負担も軽減されるため、ワークライフバランスの向上にもつながるでしょう。
3. 施設利用型勤務
所属する企業のオフィス以外の施設で就業する働き方です。具体的には以下のような場所が含まれます。
・従業員の自宅近くに設けられたシェアオフィス
                ・さまざまな人が利用できるコワーキングスペース
                ・自社社員専用のサテライトオフィス
この働き方のメリットは、従業員の通勤・移動時間を削減できて業務の効率化につながる点です。企業側にとっては、既存の施設などを活用することでオフィスにかかるコストを削減できるメリットがあります。
4. ワーケーション
ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」の2つの単語を組み合わせて生まれた言葉です。リゾート地や観光地など、非日常的な場所で働きながら休暇も楽しむ新しい働き方を指します。
ホテルによっては、ワーケーション用の特別プランを用意しているところもあります。仕事の前後に観光をしたり、気分転換をしたりしながら働くことで、心身ともにリフレッシュできるのが大きな特徴です。
5. ハイブリッドワーク
リモートワークとオフィスワークを組み合わせた働き方です。企業の状況や従業員の希望に合わせて、在宅勤務と出社を柔軟に選択します。
この働き方は、遠方に住んでいる人やUターン・Iターン希望者などの通勤の負担を減らし、働きやすい環境を整えられる点に特徴があります。
【視点別】リモートワークを導入するメリット・デメリット

ここからは、企業側と従業員側に分けて、リモートワークを導入するメリット・デメリットを解説します。
企業側のメリット
リモートワークを導入することで、企業側には以下のようなメリットが生まれます。
コストが削減できる
リモートワークの導入によって出社する従業員が減ると、広いオフィスを確保する必要がなくなります。オフィスの縮小にともない、賃料の負担を軽減できるのは大きなメリットです。従業員の交通費やオフィスにかかる光熱費、設備費、消耗品費なども削減できます。
また、削減された通勤時間を業務に充てられるようになるため、残業代の負担を軽減できる効果も期待できます。
離職防止と人材の確保がしやすい
リモートワークにより柔軟な働き方が可能になると、育児や介護などを理由とした離職を未然に防げるメリットがあります。
また、柔軟な働き方をしたかったり、通勤距離を理由に就職を断念していたりした優秀な人材を採用できる可能性もあるでしょう。
企業側がさまざまな働き方を推奨している点は、求職者にとって大きな魅力となります。
事業継続性の確保につながる
リモートワークなら、公共交通機関が停止したり、オフィスに入れない状況になったりしても在宅で業務を進めることができます。
そのため、リモートワークの推進は、停電などの災害、交通機関の運転見合わせ、コンピュータウイルスへの感染にともなうオフィス機能の停止といった非常事態下での事業継続性を確保することにもつながります。
オフィス以外でも従業員が就業できる体制を整えておけば、非常事態時でも損失を抑えることが可能です。
企業側のデメリット
リモートワークにはメリットが多い反面、デメリットもあります。リモートワークを導入する際にはデメリットも踏まえたうえで適切な対策を講じることが大切です。
情報漏洩のリスクがある
カフェをはじめ、オフィス以外の場所でリモートワークを行なうときには、業務中のパソコン画面をのぞき見られたり、モバイル端末を紛失したりして情報が流出するリスクがあります。
また、自宅や公共ネットワークのセキュリティが甘いと、ハッキングされて機密情報を抜き取られるなどの被害にあう恐れがある点にも注意が必要です。
タスクの進捗や労務の管理が難しい
リモートワークはオフィス勤務とは違い、従業員の働く姿を直接目で見て確認できないため、タスクの進捗や労働時間の把握が難しい一面があります。
しかし、企業は法律で定められている労働時間の上限を遵守しなければなりません。そのため、勤務時間を正確に把握できるような対策が不可欠です。
具体的には、勤怠管理システムやタスク管理ツール、コミュニケーションツールなどを導入し、従業員一人ひとりの労働実態を把握することが必要となってきます。
業務フローや評価制度などの整備が必要になる
リモートワークを導入するうえでは、業務の仕組みやルール、労務管理の方法、評価制度などの体制を整備することも大切です。
例えば、労働実態の把握が難しいリモートワークには、成果主義の人事評価制度が適していることがあります。この評価制度を効果的に機能させるには、評価基準やルールを明確にし、適切な管理ツールを導入することが欠かせません。経営陣や従業員の理解を得られるかも課題となってきます。
さらに、制度の導入に際してシミュレーションの作成や費用対効果の算出に多くの時間と労力がかかる点もデメリットといえるでしょう。
従業員側のメリット
リモートワークを実施すると、従業員側にもさまざまなメリットが生まれます。
通勤時間が減り育児や介護と両立がしやすい
リモートワークを導入すると、従業員の通勤にかかる時間や通勤ラッシュによる身体への負荷が軽減されます。そればかりか、通勤にかかっていた時間を業務以外の時間に充てられるようになる点もメリットです。
その結果、家族や友人と過ごす時間や、趣味など自分のために使える時間が増え、ワークライフバランスの向上が見込めます。
また、リモートワークを導入すると時間や場所を選ばずに働けるようになるため、育児・介護・病気療養をしながらでも業務に従事しやすくなる点もメリットです。
モチベーションの向上と業務効率の改善が見込める
先述のワークライフバランスの改善により、従業員の業務へのモチベーションが向上するケースは少なくありません。
リモートワークの導入により、結果的に従業員の生産性向上や業務効率改善なども期待できるでしょう。
働きやすい環境を自分で選べる
リモートワークは業務時間帯や休憩するタイミングなどの融通が効くため、働きやすい環境を自分で構築できるようになる点もメリットです。
また、リモートワークでは一人もしくは少人数で業務をする形となるため、雑談や雑用により業務が中断されることがなく、オフィスよりも自分の業務に集中しやすい特徴もあります。一人で進められる作業とリモートワークの相性は良いといえるでしょう。
従業員側のデメリット
一方で、リモートワークの導入による従業員側のデメリットとしては、以下が挙げられます。
社内のコミュニケーション不足が起きる
リモートワークは従業員同士が対面で業務することがほぼないため、認識のずれやチームとしての結束力の低下を招く可能性があります。
特に入社したばかりの従業員にとって、業務を直接見て学ぶ機会や気軽に質問するタイミングが失われる点は大きなデメリットです。焦りや孤立感から離職にいたるケースもあります。
従業員同士の何気ない雑談の機会がなくなるのは、企業にとっては大きなデメリットといえるでしょう。
仕事とプライベートの切り分けが難しい
在宅勤務では「いつでも業務ができる」という気持ちから、オンとオフの切り替えができず、ダラダラと業務を行なってしまうことがあります。
また、在宅勤務では生活空間と就業場所が物理的に区切られていないため、プライベートと仕事との境界線が曖昧になりやすいと感じる人も少なくありません。
こうした状況を防ぐためには、従業員側がオフィスでの業務以上に自己管理能力を身に付ける必要があるでしょう。
リモートワークの導入を成功させるポイント

リモートワークの導入を成功させたいのなら、以下のポイントを意識しましょう。
適切なセキュリティ対策
リモートワークを導入する際には、セキュリティ対策の徹底が重要です。情報漏洩を防ぐためにも、セキュリティガイドラインの策定やセキュリティソフトの導入、リモートワーク時のルールの明確化などを行ないましょう。
コミュニケーションツールの活用
対面でのコミュニケーション不足を解消するには、コミュニケーションツールの活用が効果的です。具体的には、社内SNSやチャットツール、Web会議システムの導入などがおすすめです。
労務管理や評価制度、社内体制の見直し
リモートワークを推進するには労務管理や評価制度、社内体制の見直しも重要です。具体的には以下のような対応を検討しましょう。
・長時間労働を防ぐために就業規則を整備する
                ・従業員のモチベーション低下を防ぐために、業務自体や評価プロセスを可視化して評価制度を見直す
                ・裁量労働制やフレックスタイム制を導入する
シェアオフィスの活用
リモートワークを推進する際には、併せてオフィス環境の見直しを検討するのもおすすめです。
例えばシェアオフィスを活用すると、従業員のコミュニケーション不足の解消やオンオフの切り替えの促進といった効果が期待できます。
リモートワークの方に多拠点型シェアオフィス「H¹T」がおすすめ

リモートワーク用の施設を探しているなら、多拠点型シェアオフィス「H¹T」(エイチワンティー)がおすすめです。
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「H¹T」はオンライン会議や打ち合わせ、集中作業、従業員の面接などさまざまなシーンでご利用いただける多拠点型シェアオフィスです。
まとめ
リモートワークは「決められた就業時間内に会社とは異なる場所で業務を行なう働き方」、テレワークは「ICTを活用し、時間や場所にとらわれない働き方」を指します。両者はほぼ同じ意味合いで使われることが多く、大きな違いはありません。
リモートワークには、業務コストを削減できる、従業員の離職防止につながるなどのメリットがあります。一方で、情報セキュリティへの懸念やコミュニケーション不足の問題などのデメリットがあるため、導入する際には課題を解決する対策を講じることが大切です。
リモートワーク特有の課題を解決し、オフィス以外の場所で安全かつ快適に働ける環境を整えたい場合にはシェアオフィスを活用するのは選択肢の一つです。シェアオフィスをお探しなら、全国の主要都市約300箇所に展開する「H¹T」(エイチワンティー)のご利用をぜひご検討ください。