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新型コロナウイルスで変わった働き方
どこでも働ける時代だからこそ、オフィスに求める価値とは?

2021.01.19
コラム

H¹Tでは人生経験シェアリングサービス『another life.』とタイアップし、働き方改革の最前線で活躍するゲストとこれからの働き方について考える『H¹T LAB~働き方改革最前線~』を定期開催しています。

5回目のテーマは「どこでも働ける時代になった中、オフィスが担う役割や発揮する価値とは?」。GMOインターネット株式会社・取締役グループコミュニケーション部部長の福井敦子さんと、サッポロビール株式会社・総務部長の森本真紀さんにご登壇いただき、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の拡大で変化した働き方やオフィスの価値についてお話を伺いました。2020年10月7日に開催した本イベントの様子をレポートします。

【ゲスト】

  • ・GMOインターネット株式会社取締役グループコミュニケーション部部長
    福井敦子さん
  • ・サッポロビール株式会社総務部長
    森本真紀さん

【モデレーター】

  • ・株式会社ドットライフ代表取締役社長
    新條隼人

コロナウイルス感染の急拡大で始まった新たな働き方

今年の春先からコロナウイルスが拡大していますが、お二方の会社では働き方に関してどんな対応をされてきましたか?よろしければ、簡単に時系列で教えてください。

森本真紀さん(以下、森本):まずは3月2日に原則在宅勤務という方針を打ち出しました。この時点では上司の許可があれば出社はできていましたね。しかし緊急事態宣言後の4月7日からは在宅勤務が徹底され、出社は必ず上司から指示された業務や時間のみ。工場などどうしても出社が必要な部門は、業務内容を絞り、極力出社する人を減らすようにしていました。

6月以降も在宅勤務を続けながら、オフィスにいる人数が原則3割以下になるよう調整しています。

福井敦子さん(以下、福井):私どもは1月16日に国内初の感染者が出たという情報を受け、出張を減らしたり海外渡航者へ帰国を指示したりしていました。そして、春節で海外から多くの方が日本に来ることによる感染拡大を危惧し、1月27日から在宅勤務へ移行しました。

現在はオフィスに出社するパートナー(従業員)の比率を50%以内に留めるようにしていますが、勤務体制などの判断基準はGMOインターネットグループ独自に5段階のレベルで決定しています。今はレベル2で運用していますが、数ヶ月前まではレベル3で、どうしても出社しなければいけないチーム以外は原則在宅勤務で出社は許可制にしていました。(※2020年10月7日時点)

神谷:私のオフィスも、似たような感じですね。お客様からの電話への対応業務があるので、自粛期間中でも100%テレワークベースの勤務ができなくて、今も基本的に出社しています。ただ、非常事態においてどのように勤務形態を変えていくべきなのか、上司もこれが正解だというふうに決断することがなかなか難しそうだとは感じていて。会社内が内にこもっちゃっているような状態なんですよね。

グループ独自の判断基準があるんですね。

福井:はい。日々コロナウイルスの感染状況や社会の動きが変化していたので、どんな状況下でもすぐに対応できるよう共通のルールを策定することに決めました。この9ヶ月間で、社会情勢に合わせてレベルを上下させたり地域ごとに設定したりしましたが、グループ全体が共通のルールで動いているので混乱が起きにくかったですね。


GMOインターネット株式会社 福井敦子さん

働き方や制度をスムーズに移行するため、必要なものとは

新しい働き方へ移行していくなかで、大変なことはありましたか?

福井:振り返ると、本当に試行錯誤をしながら頑張ってきたなと感じます。特に在宅勤務が始まった当初は、これまでオフラインでやっていたことを全部オンラインに切り替えようとしていたので、とにかくそこに頭と時間をたくさん使いましたね。
オンラインイベントを15回以上やったりオンライン上で毎日ラジオ体操をしたりと、とにかくさまざまな取り組みをしてきました。オンラインでコミュニケーションを生むにはどのような工夫をしたらいいのかをひたすら考え続けていたのを思い出します。

森本:私は大変なことではないのですが、社員が意外と抵抗感なく変化に適応してくれたことに驚きました。目まぐるしい変化にもちろん戸惑いはありつつもポジティブに捉えていた社員が多かったですね。

大変ながらも、両社とも新しい働き方への移行は比較的スムーズだった印象を受けていますが、そこには何か理由があるのでしょうか?

森本:何か特別なことをしたわけではなく、もともとテレワークの制度や環境が整っていたことが大きな要因かと思います。以前から働き方を変えようという取り組みを行っていたので、今回のような急な変化にもすぐに対応できたのかと感じています。


サッポロビール株式会社 森本真紀さん

なるほど。福井さん、いかがでしょうか?

福井:恐らく「意思決定の早さ」と「トップからの発信」にあると思っています。弊社には有事の際にとても大切にしている3つのことがあります。一番大切なことは、パートナーの命を守ること。次に、事業を継続すること。そして、社会貢献をすること。
この3つを軸にすると、意思決定が簡単になり判断が早くできるようになります。今回もパートナーの安全が一番だという考えのもと、どんどん決めて実行していったことがよかったのかなと思っています。

また、グループ代表の熊谷が自身のTwitterやブログなどで「なんのために今これをやるのか」ということをしっかりパートナーへ伝えてきたのも関係していると感じています。たとえば在宅勤務が始まった日に、パートナーを危険にさらしたくないから在宅に切り替えるというメッセージを発信したんです。すると、これを見た多くのパートナーが意図を理解してくれました。それもあり、在宅勤務への移行もスムーズだったと感じています。

オフィスはコミュニケーションの場として生まれ変わりつつある

この数ヶ月間手探りしながら勤務体勢を変えてきたと思いますが、在宅勤務をメインでやってきて気づいたことなどありますか?

森本:当初は本当に在宅で業務が回るのかという漠然とした不安もありましたが、やってみると案外できるな、というのが最初の感想でしたね。例えば、営業部門はこれまでお客様のところへ訪問していたのが、双方がオンラインツールを使わざるを得ない状況になり、新たな営業スタイルを開拓するきっかけになったと思っています。

福井:在宅勤務の良し悪しがかなり浮き彫りになりましたね。良い面としては、やはり通勤がなくなったことで、家族との時間が増えたり勉強時間が十分に持てるようになったりと、多くのパートナーから喜びの声が上がっていることです。

逆に、課題は出てきましたか?

森本:課題は、出社する目的ですね。緊急事態宣言中は出社したくてもできない状況だったのが、今は3割が出社できるようになった。だから何をやろうかという捉え方に変化してきています。ただ、現状はオフィスでの仕事の仕方は個人の考え方に依存している部分があります。せっかく出社したのだから顔を突き合わせてやれる仕事をしたいと思う方もいれば、家で集中できないからもくもくと作業したいと考える方も。今後は、会社として出社する目的や価値を明確にしていかなくてはと思っています。

福井:森本さんと同じく、私たちも出社時と在宅時での作業の仕方については模索していますね。オンライン会議で強く感じたのは、無駄話がなくなってしまったこと。小さなつぶやきが取り上げにくくなってしまいました。そこで、オフィスに50%の人が出社できる今のうちに、コミュニケーションしておきましょうという目的で「コミュニケーション貯金」を推進しています。定例会議やディスカッションが必要なミーティングはあえて出社してやってもらったり無駄話を存分にしてもらったりすることで、「コミュニケーション貯金」を促しています。反対に、集中する作業は家でやってもらうなどベストな形を探しています。


GMOインターネットグループで行なわれたアンケートでは、意思疎通の難しさを感じるとの声があがったという。

森本:緊急事態宣言が出されてからはとにかく家で仕事をしましょうということが焦点になっていましたが、今はそこから生まれた課題を解消するためにオフィスを活用してみようというフェーズに入ってきていますよね。

どこでも働けるからこそ、そこで何をするのかが問われる時代へ

これからの働き方やオフィスのあり方についてどのようにお考えですか?

森本:一つ言えることは、コロナウイルス感染拡大前には戻らないということ。たとえ今の状況が収束したとしてもそれはafterコロナにおける新しい形であって、以前の形に戻ることはないという発想で物事を考えていかなくてはならないと確信しています。この数ヶ月で徐々にできることとできないことがみえてきたので、afterコロナに向けてこれらをどのように活かし新しい働き方やコミュニケーションの取り方、オフィスのあり方などを組み立てていくかが重要。ただ正解がありそうで無いので、まずはトライしていくことが大事かなと思っています。


森本さんよりこれからのオフィスのあり方についてお話いただいた

福井:afterコロナでも恒常的に在宅勤務を継続していく予定です。その上で、オフィスは顔を合わせてコミュニケーションをとる場として必要なものだとも捉えています。私たちもトライアンドエラーを続けながら、新しい働き方を成功に導くルールや事例づくりに励んでいきたいです。

最後に一言ずつお願いします。

森本:今回福井さんのお話のなかにはとても参考になる事例や考え方がありました。私たちも日々悩みながらafterコロナへの歩みを進めていますが、このように他社の取組みを聞くことで新たな発見もありますし、自社の取り組みを再考する良い機会にもなります。本イベントを通して、皆様にも何かきっかけを提供できていたらいいなと思っています。

福井:まだまだ大変な状況が続いていますが、このような時でもビジネスチャンスは色々なところにあると思っています。できなくなってしまったことをどうやったらできるようになるのかなという考えを持って、世の中と向き合っていくことが大切だと考えています。当社では、今まさに新たな取り組みも考えているので、こちらも含め今後も皆さまのお役に立てる情報を積極的に発信していきたいです。

Q&A

視聴者の方から頂いた質問をいくつかご紹介します。

在宅勤務を恒常化する上で、効果的だったことや大切にしていることなどありますか?

森本:先ほどもお話したとおり、私たちはもともと在宅勤務ができるような制度や環境を準備していました。これを最適なタイミングできちんと活用できたことが、スムーズな恒常化につながったのではと感じています。

福井:オフィスでの取り組みではありませんが、在宅勤務をする上でやはり大切になってくるのは信頼関係だと思っています。どうしても見えないところにいるのが不安で、チームメイトやパートナーをガチガチに監視した環境で仕事をする会社もあるようです。でも、これでは信頼関係が損なわれて組織が崩壊してしまうかもしれません。見えないからこそ、彼らを信じ任せることで組織の質が上がり、在宅勤務の恒常化にも関係してくるのかなと思います。

サテライトオフィスについてのお考えをお聞かせください。

森本:今はまだサテライトオフィスの利用はありませんが、自宅の近くで落ち着いて仕事をしたい、といった要望に応える一つの選択肢になるのかなと考えています。今ある自社のオフィスも上手く活用しながら、色々な可能性を広げていかなければいけないですね。

福井:私たちは、オフィスの種類を増やしたり設備投資をしたりすることは考えていません。今は、小さいお子さんがいても快適に仕事できるようベビーシッターサービスを開始するなど、在宅勤務時の環境をもっと良くしていきたいと思っています。また、今後もリモートワークを恒常化していくことはすでにパートナーへ共有されているので、引越しをする人も増えたようです。会社全体で、家を拠点に仕事していくという方向に動いていますね。

今後もH¹Tは『H¹T LAB~働き方改革最前線~』を定期開催し、様々な切り口からワーカー本位の働き方について考える場を作ってまいります。