H¹TLAB 働き方改革最前線 #02 一億総介護時代の組織づくりを考える

2020.06.12
イベントレポート

H¹Tでは人生経験シェアリングサービス『another life.』とタイアップし、働き方改革の最前線で活躍するゲストとこれからの働き方について考える『H¹T LAB~働き方改革最前線~』を定期開催しています。

第2回目のイベントでは『一億総介護時代の組織づくりを考える』をテーマに、介護コンサルティング事業を行う株式会社リクシス/チェンジウェーブ 代表取締役社長 CEOの佐々木裕子さんと、介護に志を持つ20代を中心とする世代が活躍できる環境づくりに取り組む株式会社Blanket代表取締役の秋本可愛さんを迎え、一億総介護時代の働き方についてお話をいただきました。

新型コロナウイルス感染防止のためオンラインで開催された本イベント。様子をレポートします。

第三回のイベント情報(H¹TLAB 働き方改革最前線 ~育児と仕事を両立する「共働き世代」のこれからの働き方~|Human First Time × another life. #03)

【ゲスト】
・佐々木裕子さん(株式会社リクシス/チェンジウェーブ 代表取締役社長 CEO)
・秋本可愛さん(株式会社Blanket代表取締役)
【モデレーター】
・新條隼人(株式会社ドットライフ代表取締役社長)

介護離職10万人は氷山の一角。会社が知らない介護の現実

新條:まずは改めて、働く上で介護が課題になるのは、仕事に時間的・場所的な制約が出てくるところでしょうか。

佐々木:そうですね。仕事と介護を両立しておられる方にも、ずっと介護されている方、家族で交代しながらやっている方、週末だけ、あるいは数カ月に1回行っている方、さまざまです。その方々に調査すると、課題は必ずしも時間や場所だけじゃありません。介護で仕事に影響出るのは、4つくらいのパターンがあります。

まずはおっしゃる通り、時間に制約ができること。例えば、出張に行けないとか、介護されている方の容態によっては大切な業務でも投げ出さなきゃいけないとか。そういったものが一つめですね。

二つめは、仕事や業務の内容に制約があること。介護をしていると、自分が本当にやりたい仕事をすべて選べるわけではありません。

三つめは、職場や周りの人に迷惑をかけていると考えて、精神的に辛くなるパターン。四つめとして、自分の生産性や仕事での集中力が下がったとおっしゃる方もいます。このように、複合的に仕事に影響が出るのが仕事と介護の両立の実態ですね。

秋本さんは現場のことをよくご存じだと思いますが、一括りに「介護」と言ってもさまざまなことがあると思います。ご家族の方がしなくちゃいけないことはなんでしょう。また、どういうことに時間を使うんでしょうか。

秋本:介護サービスを利用しようとしても、そもそも介護保険は、要介護認定を受けて使えるようになるまで1カ月から2カ月かかると言われています。差し迫った状態になってから使おうとしても、すぐには使えないんですよね。それまでの間、ご家族の負担は増えます。
介護が必要かな、どうかな? みたいな状況って、まだご本人もしっかりしていて、認定を受けることに本人もハードルがあったりとか、ご家族は施設に入れたいと思っていても、本人はずっと自宅に住みたいと思っている、そういうギャップも生まれます。

佐々木:介護されている方々の中では、在宅介護がマジョリティですよね。施設に入っていらっしゃる方の2、3倍はおられるんじゃないでしょうか。もちろん在宅でも通える施設はありますが、まるっとプロにお任せできる状況が作るのは難しい。

秋本:お金の問題もありますね。施設の費用はそれなりにお金がかかるので、介護離職に年収が影響している、というデータは見たことがあります。

佐々木:ご家族との関係性にもよりますが、最初から施設に入りたいとおっしゃるご本人はすごく少ないんですよね。住み慣れた我が家に住んでいたいと思う方が大半です。そう簡単に施設に入ってとはいかないのが実態だと思います。

私の父が祖父の介護をずっとしていたこともあってか、私には「俺がボケたら早く施設に入れてくれ」と話していました。でも本音は違うんですかね……。

では、実際に働く方が介護を始めると、どういうところに悩み始めるのでしょうか。

佐々木:介護されている方の中で離職をされる方は少数派です。ほとんどの方は仕事と両立をされています。そんな方々にどこが大変なのかを調査したところ、まず最初は、介護が必要なんだと気がつくまでに結構時間がかかることなんですね。

いつ、どの状態だったら要介護申請すべきなのか、8割以上の人はわかってないというデータがあります。要介護度は、すごく軽度な要支援1から、要介護5まで7段階あります。うちの母は要支援2なんですけど、申請したときは普通に歩けるし、認知症でもない。ただ、歩くのがしんどくて、転びやすい。3回くらい転んでるんです。歩く速さもゆっくりになって、車の乗り降りにすごく時間がかかる。このくらいで、要支援2です。

秋本:いわゆる「要介護」のイメージとは違いますよね。

佐々木:寝たきりだったり、お風呂やトレイを介助するイメージがあると思いますが、実は結構幅広いんですよ。なぜ私が母の要支援申請をしたかと言うと、次に転んだとき骨折してしまうと、介護度がグッと上がって、生活のクオリティに大きく差が出るからなんです。杖を用意するとか、筋トレをするとかの介入が必要になるんですけど、公的申請をすると、プロがちゃんとサポートしてくださいます。様子見をしながら、まだ大丈夫、まだ大丈夫と先延ばしにしていると、だんだんご本人もご家族もしんどくなってくるので、本当は早期に申請した方がいいです。

認知症も同じで、早期の方が症状を加速させない手当てができますし、認知症の種類によっては、医療で治せるものもあるんです。早く病院に相談することがすごく大事なんですけど、あまり知られていないですよね。早くってどのタイミングなのか、どうやって病院に連れていくのかもわからない。

判断が難しくて、介護だと認識するまでに時間がかかるということですね。みなさんどんなコミュニケーションを取って、介護だと判断していくのでしょうか。

佐々木:介護のプロは要介護の状況をご存じなので、秋本さんみたいな方が友達にいると聞けるんですよね。私のときは、母が3回転んで、「歩けなくなってきました、でも心配しないでください」って手紙が来たんです。これ心配しますよね。そこで弊社のスタッフに「こんな手紙が来たんだけど」って連絡したら、母から状況を聞いて要支援の申請をしてもらえました。


介護はご家族の問題である一方で、雇っている企業の問題でもあります。佐々木さんは企業向けに仕事と介護の両立支援サービスを展開されていますが、企業側が考えている課題とか、サービスへのニーズはどんなものがありますか。

佐々木:介護と仕事の両立の優先順位は、企業さんごとにまちまちです。秋本さんが展開されているワークショップを依頼するような企業さんはすごく感度が高いです。これから人材不足が進んでいくので、優秀な人たちが制約社員にならないように、積極的に取り入れてらっしゃるんでしょうね。

一方で、どう対応すべきかわからなくてどうしたらいいですかって相談に来る企業さんも多いです。でもそれは仕方のないことで。介護と仕事の両立って表面化しないんですよ。介護離職は年間10万人と言いますが、これは氷山の一角で、実際には介護をしている人がたくさんいて、人事に話していないし、制度も使わないんですよね。制度を使うと「介護している社員だ」ってタグがついて、今後の昇進や異動にも影響する。

秋本:会社に制度があることは知っているけど、人事に介護のことを言いづらいとか、制度を使った後に自分のキャリアに影響するんじゃないかとか、まだまだハードルというか、言いづらい雰囲気はあると思いますね。

佐々木:表面化しない構造だから、効果的な制度や施策が打たれない。負のサイクルが介護と仕事の両立にはありますね。

なるほど。では、今お話にもあがった、介護をしている方のキャリアについてはどうお考えでしょうか。介護を前提に働き方を変えていくのか、ご自身の職能とか強みに合わせて介護の仕方を変えるのか、いろいろあると思うんですけど。

佐々木:私は両立できると信じています。そこまで深刻な介護ではありませんが、一応うちの母親は要支援2で要介護者ではあります。でも私は1日も会社休んでないし、悲壮感も今のところありません。それはちゃんとプロにサポートしてもらえてる安心感があるし、解決策があると確信できているから。

秋本:日本人ならではかもしれないですけど、子育ては親がやるもの、親の介護は子供がやるものって固定観念に縛られて、プロに頼らずにがんばっているところがあると思います。介護の現場を経験しましたけど、介護職として下の世話をやるのはなんの抵抗もないですけど、お父さんは私にやられたくないだろうなって思います。

自分の父が認知症になったとき、それが家族の日常となったときに、全部を受け入れる知識はあるけれど、受け入れられるかと言われたら、全然自信がありません。やっぱり家族として関われる範囲で関わって、ほかは専門職に頼るのが大事だなって思いますね。

佐々木:リクシスでは認知症に対するリテラシーを上げるコンテンツを、在宅医療をやってらっしゃる専門の先生と作っているんですが、認知症の介護において一番解決しなきゃいけない課題は家族が介護をすることだとおっしゃるんです。なぜかと言うと、秋本さんがおっしゃる通り、元気な頃のご本人を知っていて、変わっていくお姿を見て、イライラするし不安にも思っちゃうんですよね。実は認知症が加速する一番大きな要因って「不安」なんですよ。

それはご家族のではなくご本人の不安ですか?

佐々木:そうです。ご本人が不安を感じるのが一番まずいんです。「なんでそんなことしたの、お父さん!」みたいにご家族がイライライしたり不安だったりする環境だと、この人は敵だ、ここにいたらよくないことが起こる、と不安に思って、症状が加速するそうです。ご家族が認知症介護するのはすごく大変で、一緒にやってるプロの介護職も、自分でも家族のことはできる自信がないって言うんですよね。

餅は餅屋というか、プロに任せるのが合理的だし、ご本人の生活のクオリティにとっても、症状を加速させないためにも絶対いいんですよね。こういうリテラシーがあると、ちゃんと両立はできるし、そこに罪悪感を感じる必要もないんだと思います。

秋本:介護する世代って忙しいじゃないですか。親の介護に子育てに、仕事に家事といっぱいいっぱいになって、自分の幸せを忘れがちになるんですよね。そのいっぱいいっぱいな状況に余白を作れるのが企業の在り方なのかもしれません。

介護する方も介護される親御さんも、ともに健やかでいることがゴールだとすると、必ずしも介護する主体が自分である必要はないんですね。

佐々木:そうですね。介護のプロの方々は経験値もあるし、知識もあるわけです。一方で介護は初めての私がやるのとどっちがクオリティが高いか。それはプロにお願いしたほうがいいですよね、と冷静に考えられるかどうかだと思います。

介護離職を防ぐ組織を作るために、まずは知識から


このイベントは人事総務の方が多くご覧になっているんですが、人事としては、社員の介護について、どのように対応していけばいいんでしょうか。

秋本:介護と仕事の両立を社内のメンバーと一緒に考えるワークショップを開催すると、参加者の方が「他人と介護の話をしたのは初めてかも」って言うんですよ。実は社内に介護中の方も、介護を経験した方もたくさんいて、どんな制度を使えばいいとかの情報共有ができるんです。

佐々木:人事の方々がリテラシーを持つことから始めないと何も始まらないと思っています。何が今課題なのかとか、実際どのくらいの人が潜在的に介護をしているのかとか、どういう情報があると従業員の方々の負担が減るのかとか、介護の負担を減らしたら会社にどれぐらいの影響があるのかとか。

今の経営者の方はご自身が介護しながら仕事をした経験が少ないでしょう。専業主婦のパートナーがいらっしゃったりとか大家族だったりとかして、誰かが介護をやってくれた。でも今はそうじゃない。そこの認識をちゃんと人事の方が、まずは持たれていくっていうのはすごく大事だと思います。

あと、準備しましょうって言われても準備しないですよね? 例えば本屋さんに介護の本があっても手に取りますか?

今は絶対手に取らないですね。

佐々木:でも育児とか教育とかマーケティングとか、これから社会はどうなるみたいな本は読みますよね。ここの差もあると思うんですよ。

秋本:男性が育児休暇を取るようになったのは最近ですよね。今ようやく介護離職が知られ始めてきたので、男性の介護参加もかなりの期間がかかるのかもしれない。

働き方改革は、手段の話ではない

いったん介護の話は置いて、お二人が考える「本当の働き方改革」についてお聞かせください。今まさにコロナウイルスの影響で在宅勤務や時差通勤が加速していますが(2020年2月27日時点)、働く人にとってプライベートも仕事も幸福度が高い働き方をするには、どんなことが必要なんでしょうか。

秋本:私たちの会社もコロナウイルスの影響ではじめてリモートワークを推奨し始めているんですよ。それ以来、会えることの価値とか、リモートワークでのデメリットなんかも日々話すようになりました。働き方改革って何かの型にはめればできるものではなく、結局自分たちがどう働きたいか、どう生きたいかを考えていくのが大事になんだろうと思います。

佐々木:いろんなテクノロジーもあって、昔に比べるといろんなことができるはずですが、自分たちの頭の中にある働き方のイメージ、介護との両立のイメージはずっと昔の20〜30年前のモデルのまま、アップデートされていないんだと思います。働き方を変えていくには、自分の中の固定観念を壊すことが大事な気がしています。

***

講演後は、質問の時間をとりました。

今回はYouTubeライブのコメント欄を使ってQ&Aコーナーをやっていこうと思います。いきなりだと出しづらいとかあると思うので、事前にいただいているアンケートからご紹介しましょう。

Q. 介護と仕事の両立にあたり、ワーカーが精神面で孤立しないためにどんなコミュニケーションが必要でしょうか。

佐々木:愚痴を言ったり、相談したり、ちょっと息抜きできる場所とか相手を確保しておくことに尽きる気がします。友人でも、同じように介護されている方のコミュニティでもいい。プロの方でもいいと思います。具体的な問題解決より、精神的な辛さを誰かに共有したいとか、誰かにわかって欲しいという気持ちを満たす場所ですね。

秋本:精神面で孤立しやすいのは、先が見えないことも大きいでしょうね。平均寿命と健康寿命の差は男性でだいたい9年くらいで、女性で12年。介護は長期戦です。不安になる要素を専門職に頼って少しでも潰すのは、精神的にも大事かなと思います。

佐々木:自分は介護というプロジェクトのプロジェクトマネージャーになった、と考えるとわかりやすいですよ。これはここに頼んで…と仕事を割り振って、自分のメンテナンスの時間も入れておくと、持続可能性が出てくるのかなって思いますよね。

何が精神的な負荷を産んでいるのでしょうか。

佐々木:私たちがとったアンケートを見て思うのは、仕事もやらなければいけないし介護も大変で、自分のプライベートの時間がほとんどなくて追われている。夜中も対応しなきゃいけないこともある。睡眠不足になる。突発需要に対応しなくてはいけないので自分のスケジュールや予定が乱される。場合によっては相手は意思疎通ができない。ストレスだらけなんですよね。これを全部自分で抱えるとしんどいので、一緒に荷物を持ってもらえるような体制があるといいですよね。

決してそれができる娘、息子でなければ、という話ではないですよね。

秋本:そうですね。排泄の介助、おむつ交換やトイレの誘導が必要になってくると、全部やり切ろうとすると精神的にも身体的にもダメージが出てきます。プロでも、職場でも、友達でも、地域でも、頼れる存在を探すのは大事ですね。

それでは参加者から質問をいただきましょう。

Q. 自分のキャリアに、「介護をしている社員だ」とタグがつく懸念がある、という話を伺いましたが、打ち明けやすい場を設けるためにどんな取り組みをしたら良いでしょうか? 成長している企業さんのケースを教えていただきたいです。

佐々木:最近私が見た事例だと、広報誌にエース級の男性社員が実名と写真入りで、「僕、介護してます!」ってガンガン載せている企業さんがありました。

秋本:採用ブランディングにも繋がりそうですよね。

佐々木:一番激務の仕事をしている彼も介護をしている。みんな普通にやりますよね? っていう。なかなかいい戦略だと思いました。

秋本:健康診断を受けるくらいの感覚で、全社員にアンケート調査をしっかりとやって、ちゃんと介護の事情を把握することが必要なんじゃないでしょうか。なんで把握する必要があるのかをしっかりと社員に伝えて。

佐々木:マネジメント側の方々が介護に関して、基礎的な知識をお持ちかどうかによって変わる気がしますよね。良かれと思って介護しやすい働き方にさせるのが、逆にダメージだったりすることもあるわけじゃないですか。

総じて目を遠ざけがちなことにちゃんと向き合って、各々にとって何が良いかを考える、話し合うっていうことなんですかね。ありがとうございます。次の質問いきましょう。

Q.育児は成長を通じて精神面の負担が軽くなりますが、介護は時間が経つにつれて重くなっていく傾向がありますよね。両方とも家庭内のことと考えがちで、なかなか会社へ辛さを言い出しづらいこともあると思います。

佐々木:あとは言ったところで助けてもらえるわけではないっていうイメージがあるんですよね。打ち明けることに何かメリットはありますか?っていう。

秋本:しかも仕事とプライベートとっていう価値観みたいなものは、まだ企業によってはすごく残っているじゃないですか。言いづらいみたいなものはあるんでしょうね。

言って何か解決されるイメージが持てないと、そりゃ言わないわって感じですよね。

秋本:企業の中で前例がまだなかったり、知られてなかったりして、育児みたいに育児休暇どうとるかとか、先輩がいるとかじゃないのは一つあるんでしょうね。

Q. 定年退職後の再就職職員が職場の半数おり、その方々が介護にあたる可能性があります。介護と仕事の両立で柔軟な働き方を進めていくにあたり、業務のIT化を進めたいのですが、どのような工夫が必要でしょうか?

めちゃくちゃ具体的ですね。柔軟な働き方を進める上でのIT化、いかがでしょうか。

佐々木:親御さんの状況だったり、ご自身がどう介護に関わっていきたいかによって、どこにいなければいけないかとか、どれぐらいの時間いなくてはいけないかが変わってきますよね。日中は、介護保険の制度の中で預かっていただけるデイサービスがあったり、送迎もしてくださったりするのですが、送迎の時間にどうしても家にいたい! となると、その時間はリモートワークとなるかもしれませんし、そこはヘルパーさんにやってもらってが可能なら、リモートワークは必要ないですよね。

でも、なにかあったらいつでもリモートワークできるのは、介護だけじゃなくどんな状況でもそうかもしれませんよね。今のコロナみたいな状況を乗り越えると移行しやすくなるかもしれない。

秋本:リモートワークとかが進めば進むほど、コミュニケーションが簡素化するリスクがあると思っています。うちも始めたときに普段の雑談ができないなと思って、Slackに雑談のチャンネルを用意しています。別の企業さんはオンラインでランチしてると聞きましたが、リモートを進めていけばいくほど、コミュニケーションの機会を作っていくことが大事になってくると思いますね。

今日、専門家への相談ということが出てきましたが、その専門家って具体的には誰なんでしょうか? 介護に悩んだとき、一番最初の窓口はどこなんですか?

佐々木:教科書的な回答としては、地域保活センターの方々ですね。そこに行くとケアマネージャーという方をご紹介いただけます。ケアマネージャーは介護プロジェクトのマネージャーなんですよ。いろんなサービスとかを手配してくださったり、ケアプランを考えてくださいます。基本はこの人がファースト。私は介護申請までケアマネージャーさんにやってもらいました。

秋本:ケアマネージャーさんもいろんな方がいらっしゃるので合う合わないはありますね。最近は介護保険ではここまでしかできないけど、自費でプラスアルファみたいなサービスも増えてきているので、頼る先はいっぱいあります。

ちなみに教科書的じゃないパターンもあるんですか?

佐々木:信頼できる人に「これでいいのか?」って聞くのが一番早い。

秋本:私にも来ますね、連絡。そこからケアマネさんに繋いだり、いわゆる模範解答をお伝えすることはあります。

佐々木:介護業界ですごく頑張ってて意識の高い、プロの方に繋がっていくのが最強ですね。

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最後に、お一人ずつ参加者へ一言メッセージをお願いいたします。

秋本:親御さんと話しておくのは大事だと思います。ハードル高いですけど、顔を合わせる機会に実際介護必要になったらどうしたいかとか。もちろん希望が変わることもあるんですよ。変わることは別に構わなくて、元気なうちからいろいろ話しておくっていうのは大事かなっていうふうに思います。

佐々木:絶対にやっておいた方がいいことが3つあります。

一つは、秋本さん同様、親御さんと話しておくこと。どういう介護を望んでるかもあるんですけど、やっぱり人の人生の話なので、しかもいい大人がどう生き抜いていきたいかをどう支援するかという話だから。親御さんの人生で絶対に奪っちゃいけないことが何かはちゃんとわかっておいた方がいいので、アルバムとか見て思い出話をしてもらうとかは結構いいと思います。

もう一つは、長く健康でいるために重要なのが食べることと歩くこと。どの論文にも書いてあるし、どのお医者さんもおっしゃるんですよね。だから歩ける筋力を絶対に奪ってはいけなくて、なんでも手伝ったりしないで、自分のことは自分でやりなさい、とした方が案外元気で長生きするんです。他にも安易に柔らかいものを食べさせないほうが歯にはいいとか、タンパク質をとってちょっと太るくらいがいいとかあるんですが、こういうのは自分の人生にとっても参考になりますよね。

三つめはお金の話。認知症になったり意思決定できなくなったりすると、口座からお金が引き出せなくなることがあるかもしれないので、万が一のお金の引き出し場所と引き出し方をちゃんとわかっておくのが大事。

今回イベントやってめちゃくちゃよかった。私が勉強になった(笑)。最後までお聞きいただきありがとうございました。


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今後もH¹Tは『H¹T LAB~働き方改革最前線~』を定期開催し、様々な切り口からワーカー本位の働き方について考える場を作ってまいります。