オリンピックはあくまできっかけ。ワーカー1人1人の意識改革がリモートワークを前進させる

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H¹Tでは人生経験シェアリングサービス『anotherlife.』とタイアップし、働き方改革の最前線で活躍するゲストとこれからの働き方について考える『H¹T LAB~働き方改革最前線~』を定期開催しています。

第一回目のイベントでは『オリンピックイヤー到来!リモートワークは当たり前になるか?』をテーマに、全社員リモートワークを実践する株式会社ソニックガーデンの代表取締役社長 倉貫義人さん、郊外型サテライトオフィス「Trist」を運営し、企業のリモートワーク導入支援などを行う尾崎えり子さんを迎え、リモートワーク導入時のよくあるお悩みや、導入前後の変化についてお話をいただきました。

本記事では当日の様子をレポートします。

【ゲスト】
・尾崎 えり子さん(株式会社新閃力 代表取締役)
・倉貫義人さん(株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長)

【モデレーター】
・新條隼人(株式会社ドットライフ代表取締役社長)

うまくいくリモートワークのカギはコミュニケーションの対称性

新條:ワーカーや企業はどんな背景・課題からリモートワークの導入を考えるのでしょうか?

尾崎:企業側は労働人口減少の課題が叫ばれる中で、「人を辞めさせたくない」「人を取りたい」といった想いが非常に大きいなと。ワーカー側は家族と過ごす時間、自分の時間を大切にするために通勤時間を削減したいというのがすごく強いです。

新條:業種・職種でテレワークの導入しやすさの違いはありますか?

尾崎:やり方次第で業種や職種によらず、リモートワークはできるのではないかなと考えています。

ただセキュリティレベルが高い業種は導入に時間を要しますね。Tristの例でいうと金融機関のお客様は導入まで1年半くらいかかりました。検討に時間はかかりますが、やり方次第でセキュリティレベルの高い企業でも導入できるのではと思っています。

職種も同様です。例えば人事はリモートワークしづらいと言われることが多いのですが、人事業務のタスクを分解してみると、セキュリティレベルの高いタスクと高くないタスクがある。週2回は本社でセキュリティレベルの高い仕事をして、週3回はシェアオフィスでセキュリティレベルの低い仕事をするということもできますよね。この職種はリモートワークできない、というのはそこまでは多くないのでは、と思います。

新條:リモートワークといっても、フルリモートもあるし、週5日間の何日かをリモートで働くという形もありますね。

尾崎:私はリモートワークする人も対面で会う機会はあるべきだと思っているのですが、「直接会うこととテレビ会議と何が違うんですか?」という話を以前倉貫さんとしたことがあって。

倉貫:僕も、ランチしてコミュニケーションをとったり、雑談したりすることがめちゃくちゃ必要だと考えていて。アイディアって「アイディア出そう」って会議をして思いつくのではなく、なんとなく喋っているところに浮かんだりするじゃないですか。だからたくさんコミュニケーションとったほうがいいなと。

だけどうちは全員リモートワークだから、オンライン上に「仮想オフィス」という形でコミュニケーションの場をつくったんですよね。毎日顔を合わせられるし、「ちょっと話そう」ってくだらない話をすることもたくさんできる。

尾崎:なるほど、ちょっと気づいたんですけど、倉貫さんの会社は全員がオフィスに来ていないけど、うちのシェアオフィスを利用している人たちは、本社に勤務する方がマジョリティな環境にいて。構造が違うんですよね…。

新條:倉貫さんも現在はオフィスを持たれていませんが、昔東京にオフィスがあった際はその構造に近かったんですよね。

倉貫:そうですね、やっぱり東京の人たちはちょっとしたコミュニケーションが取れるし、帰りに飲みに行けるし、地方住まいでリモート勤務のメンバーからしたらちょっとうらやましい。でも東京のオフィスで働いているときは、リモートワークしてる側の不満は気づけなかったですね。

地方の社員が増えてきた時に、自分もリモートワークしてみて分かりました。オフィスにいるメンバーとのテレビ会議で、盛り上がってる時に会話にめっちゃ参加しずらいとか、切ったあとの寂しさとか(笑)。電話も本社で取るから、何かあっても全然伝わってこないとか。改善したいなって思って、どんどん変えていきました。

新條:オフィスに行って働くことがメインで、リモートワークで働くことがサブだという形から、オンラインでもオフラインでも雑談をする仕事のやり方に切り替えられたんですね。

倉貫:はい。

自社にとって最適な働き方を考え、トライする

新條:オリンピック含めてリモートワークに関心を持たれている方が増えていると思うのですが、セキュリティや他、こんなことでリモートワーク導入に詰まるっていうお話ありますか?

尾崎:企業から相談を受けるのは、まずツールなんですよね。「Slackがいいですか?Googleがいいですか?それとも…」っていう。ツールの良し悪しによって働き方が大きく変わると思っていらっしゃる方が多いですが、ツールはあくまで手段でしかないです。

まずは「なぜリモートワークを自社で導入するのか?」の落とし込みが重要。上から言われているからやってるのではなく、今後の会社の中期計画から考えて、こういうような事業を伸ばしていかなきゃいけない、こういう人にいてもらわないといけない、じゃあその人たちってどんな働き方したいんだっけ、どんな生活したいんだっけ、じゃあリモートワークを進めていかないといけないなっていう落とし込みをしていかないと。

新條:なるほど。倉貫さんは実際リモートワークを始めるとき、想定していた課題や不安点などはありましたか?

倉貫:そうですね。僕らはもともと社内ベンチャーで、オフィスがあってスーツを着て通勤していた時もあるので、リモートワークがない環境もわかるのですが、今の状態まで一気に来たわけではないんですよ。

最初はペーパーレスにしてみて、オフィスに行かなければならない理由をなくすところから始めました。そうするとメンバー間の連絡やりとりどうするのって話になるので、チャットを導入する。次は打ち合わせの問題が出てきてテレビ会議を導入。1人1台パソコンをもってテレビ会議するようになると、会議室っていらないんじゃないかとみんな思うようになってきて。業務以外のコミュニケーションを取れる場がないので仮想オフィスを作り、みんなが使うようになると、もう物理的なオフィスっていらないんじゃないのって。

小さく導入して、働く人の気持ちの変化に合わせて、というのを繰り返しやってきた感じなので。リモートワークを一気にやろうと思わないことも結構ポイントなのかなと思いますね。

今からチャレンジする企業は、zoomなどのテレビ会議を導入するところから始めてみたらいいのではないかなと。パソコンとイヤホンで十分なので。

ソニックガーデンで実際に活用されている仮想オフィスの様子を説明いただきました

新條:ありがとうございます。では逆に、リモートワークに変えた成果についてはいかがでしょうか?

倉貫:まずは人が辞めないこと。様々なライフステージの変化があっても、時短ではなくフルで働き続けてくれるのは嬉しいですね。

あとは想定していなかったのですが、地方住まいの優秀なエンジニアからの応募も多くなりました。地方の優秀な人材が望む企業が地元になく転職先として選んでもらったり、結婚・子育てを機に地元に帰るときに転職先を探していて選んでもらったり。採用にフレキシブルに対応できるのは非常によかったです。

新條:リモートワークに完全移行するまで、オフィス勤務と比べるとリモート勤務の方がマイノリティな位置づけになることが多いと思うのですが、ワーカー側がとったほうがいい行動や、逆に悩まなくていいポイントは?

尾崎:リモートワーカー側は、自分のことをちゃんとアピールすることが重要だと思っていて。リモートワークをして自分だけが特別扱いされているという負い目を感じて不満を発信できない方には、その罪悪感は持たないようにしましょうとお伝えしています。今は子育て中のママがリモートワークを使う場面が多いけど、この先大介護時代がきたら、40代50代のマネジメント層もリモートワークせざるを得ない状況になるわけで。会社がリモートワークできる環境を整えるための実証実験を自ら身体を張ってしているんだ!という気持ちでいてほしいなと思います。

あとはリモートワークを導入すると起こる「チャット恐怖症」。働いていない間も常に通知が来たり、そのやりとりを見た前提で話が進められるからやりとりを追わないといけなかったり。休んでいる感覚がなくなって体調が不安定になってしまうこともあります。ワーカー側も意識を切り替えるスイッチを自分の中でしっかり持っていないと苦しくなってしまうのが今のリモートワークだなと感じています。なのでオフィス内で悩みやうまくいった事例をシェアして、全員で実行するなど工夫していってほしいです。

リモートワーク前提社会には、個人の意識改革が不可欠

新條:ありがとうございます。では最後のテーマ「今後リモートワークはどうなる?」のところで。今年はオリンピックもあってリモートワークが盛り上がる時期ではあるかなと思うのですが、いかがでしょう。

倉貫:僕は別に「リモートワーク」とか言わないでもよくなるといいなと思いますね。当たり前だったら、わざわざリモートです、オフィスですってことを言わなくてもいいようになればなと。

新條:例えばオリンピックが終わった後に、東京空いてきたから、リモートワーク比率減らしましょうみたいなことってありえると思いますか?

倉貫:いや、全然変わらないんじゃないですかね。オリンピック前後で大きく変わるってことはなくて、先ほどの介護の話とか、じわじわと変わっていく系じゃないかなと思います。

尾崎:私もオリンピックでなにかが変わるかといったら、変わらないと思います。この前の大型台風で電車が止まった時に、シェアオフィスを無料で開放したのですが、誰も来ないんですよね。電車を待つ長蛇の列に、トイレも行かずにずっと並んでいて。「何が何でもオフィスに行った方がいい」という価値観が変わらない限りは、個人の行動は変わらないのではないかなと感じてます。

個人の価値観が変われば、その個人を獲得したい会社も変わらざるを得なくなってくるなと思います。

倉貫:個人が変わると、会社も変わらずを得ないというのはすごく感じるところで。「ユニークな働き方をしている会社」で有名なサイボウズさんもかつて離職率が高い時代があって。会社を変えなきゃと、いろんな制度を変えたらしいんですね。

つまり危機感持つしかないんですよね。5人に1人が辞める状態だったら、会社は変わるので。

***

講演後は、参加者から質問の時間を設けました。

参加者:倉貫さんの著書『ザッソウ』には雑談の重要性が語られていて、今日も雑談を生むためにバーチャルオフィスを作ったというお話が興味深かったです。そこで1点質問なのですが、タバコ部屋って目的はタバコ吸うことなのに、雑談が自然発生している場だと思っていて。バーチャルオフィスとの比較をした際にお二人はどう思われますか?

倉貫:「ザッソウ」について簡単に説明しますね。よくコミュニケーションは「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)だ」って教えられてるんですけど。今時、報告・連絡って、それこそツールを使って共有できるのに、わざわざ会って一人ずつ報告するってナンセンスなので、報告・連絡は止めようと。

相談だけは実は相手いないと成立しないんですね。インタラクティブなやり取りが発生するので、相談めっちゃ大事だなと思っているんですね、仕事の上で。
とはいえ相談をいきなりするのはなかなか難しいですよね。上の人間からいきなり「相談させてくれ」って言われたら、まぁ下の人はびっくりするし。

じゃあ相談しやすくするためには何があるかと考えると、雑談だなって。ホウレンソウよりも、僕は雑談、相談のほうが大事だなと思ってるってことで、合わせて「雑相(ザッソウ)」と言ってるんですね。

タバコ部屋の話とまさしく一緒で。オフィスに目的はあるのかと考えると概ねないんです。自分の席があるから会社行ってるといるかというと、在宅勤務でも変わらない。会議室があるからかというと、テレビ会議で代替できる。

ただそこに人が集まってると、勝手に話が始まる。雑談をするし、雑談してたら相談もするし。だからタバコ部屋も結局目的はないんですよ。ただ人が集まってたら、隣の部署の部長がいて、話して、ゴルフの話してるうちに実はあの時の案件の話をしてみたいなことがまぁ大体起きるってのは、人を一箇所に集める場を用意さえすれば、話って生まれるんだなと思っていて。僕らの会社で大事にしているのは「場」という考え方なんですね。

場とは何かって改めて考えると、時空が揃っていることなんですね。時空ってのは時間と場所が揃ってること。時間と場所が揃っているところに人を置くと、それが場になって勝手にコミュニケーションが生まれて来る。で、その時空揃えた場が本当に物理的なものがいいのかというと、それはソフトウェアで再現できるんじゃないかってことで、仮想オフィスを作った。

尾崎:ちょっともしかしたら答えがズレるかもしれないんですけど、目的に沿ってリモートワークとタバコ部屋を使い分ける必要があるんじゃないかなと思います。

バーチャルオフィスとタバコ部屋との違いは、バーチャルオフィスでは狙ったターゲットと一緒に話はできるんですけど、例えば隣の課長にその話を何となく雑談風に聞かすこともできないし、何となく隣の課の同僚が、「あ、尾崎さん今そんなことやってるんだ」って知らせることができないっていうところだと思っています。

私は来年度から奈良県生駒市の公務員になるんですが、いろんな組織を巻き込んで新しいことをやっていきたいんです。まずは顔を覚えてもらって、尾崎という人間がいて、何をやろうとしていて、を理解してもらうことが大事なので、はじめ半年間は5時間かけて通勤したいと思っています。誰もリモートワークをしていない組織に対して、リモートワークやってる私を信頼してくださいとか、雑談しましょうっていきなりは相当難しいなと思っているので。相手がタバコ部屋を重要視してたら、まずはタバコ部屋に入ってみようと。

倉貫:いいアプローチですよね。リモートワーク推進するからといって、「こちらがリモートワークです。あなたたちリモートワークやりなさい」って完全に敵対関係じゃないですか。敵対関係で物事は絶対うまく行かないんですよね。なので基本的には、歩み寄りしかないなと思っていて。

尾崎:リモートワークするんだ、ではなくて、何を実現したいかによって、その時その時によって、タバコ部屋に行く時もあれば、テレビ会議で済ますこともあるっていうような使い分けはやっぱり柔軟に必要かなとは思います。

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盛り上がりを見せたトークセッションの後は、参加者とともにワークセッションを開催。「2020年、あなたの職場でリモートワークは活用されるか?」をテーマにまず個人が考え、その後チーム内でシェアをしました。

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新條:では最後に、登壇者お二人から参加者へメッセージをお願いいたします。

倉貫:今日ここに来るのに京都から新幹線乗って来て、品川で降りて山手線、夕方5時台の新宿行きの山手線って死ぬほど混むんですね。久しぶりの満員電車すぎて、途中降りて休憩したっていうぐらい乗りなれていない。

で、よくよく考えると、10年前は毎日電車で通勤していて。当時は慣れてたから平気だったんですけど、一回通勤しない生活に慣れると、もう戻りたいと思えない。おそらくリモートワークも徐々に皆やってみたら、めっちゃ楽じゃんみたいな。多分、会議を変えよう、会社変えよう、とかじゃなくて、「やってみたら楽」を体験すると、「マジいいからみんなやろ」みたいな感じになってくると思うんです。それを徐々に増やしていくのが良いかなと思う。例えば洗濯機。洗濯機も出来た当初は、「手で洗わないと良くないよ」みたいなこと言う人絶対いたと思うんです。でも楽さ覚えるともう、洗濯機ないと生きられないじゃん。

なので皆さんどんどんアクションしましょう!

尾崎:ありがとうございました。2つあって、日本人が企業に勤めさせてもらっているというスタンスのままではやはり何も変わらないと思うので、自分自身がどこに行っても、ちゃんと価値の高い人間になるために、ちゃんと大人になっても学び続けて、結果を出し続けることは必要だと思います。

会社に行ってる間って、会社に行ってれば、そこに座っていさえすば何もしなくたって最悪お金はもらえるっていういい面もあるわけで。でもリモートワークになるとちゃんと結果を出して、自分自身の頭と体で考えて、見えるようにしないといけなくなるので、当然それって楽な働き方と同時に大変な部分もあると思います。個人個人が自分が何をしたくて、何を持っていて、何でお金をもらうのかっていうのを会社員ですらちゃんと思っていないと、やっぱりリモートワークっていう働き方は合わなくなって来るんじゃないかなってのが1つ。

もう1つは、リモートワークも1つの選択肢なので、会社に行くってのもいいし、テレビ会議で話すってのもいいし。アホほど働くっていう月があってもいいし、全く働かないって月があってもいいし、午前中だけ働くっていう日があってもいいしっていうのが、自分の中で選べるってことがすごく重要だと思っています。

選択に対して誰かから何か言われた時に、自分が納得しているってことをしっかりと伝えられるってことがすごく必要。

個人個人で生産性の高い月や時間が違うと思うので、どのタイミングが自分にとって一番楽しく気持ちよく元気に働けるのかを選べるように、自分の中にアンテナを張っておくのがすごく重要だなって思います。またそれを個人が選択できるように会社側もしておくべきだと思います。
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今後もH¹Tは『H¹T LAB~働き方改革最前線~』を定期開催し、様々な切り口からワーカー本位の働き方について考える場を作ってまいります。

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