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コロナで変化した働く場所と暮らしの関係の悩みを語る座談会レポ

2021.01.06
コラム

今年はたくさんの人が「ライフワークバランス」という言葉を考えた年だったのではないでしょうか? リモートワークにテレワーク……「仕事」と「暮らし」の距離は、物理的にも精神的にも近頃ずいぶん近づきました。もちろんいいこともあるけれど、状況に迫られてのことに、息苦しさや不便を感じたり、家事と仕事の境界がわからなくなったり。自分に合ったやり方が、まだわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこで「仕事」と「暮らし」を取り巻くさまざまな課題について考え、そこで生まれたものから次のアクションに繋げていく「#わたしにちょうどいい働き場所」プロジェクトを、She isと野村不動産が運営するサテライト型シェアオフィス「H¹T(エイチワンティー)」で始めました。今回は、働く場所に関して悩んだり、自分なりに試行錯誤をしてきた4人のShe is のMembersとShe is 編集部の竹中万季・野村由芽が、今の悩みや、実践している工夫を「H¹T」で語り合いました。

「自粛」期間を経て、今の働き方と環境をどう感じてる?

林原:私の会社はいわゆる昔ながらの「日本の会社」で、同僚の多くの人たちは働き方を議論することは贅沢なことだと捉えていると感じますし、実際に、働き方の選択肢はあまりないと思います。一方で、個人的にはコロナ(新型コロナウイルス感染症)の状況があって初めて、「働き方」というのは自分自身が考えを巡らせてもいいことなんだと気がつきましたし、もしかして人生ですごく大事なことを見逃していたかもしれないと思うようになって。


林原千紗(仮名)さん。国内、海外のプロモーションをする会社に勤務。仕事でお付き合いがあるのは広告代理店などクリエイティブ関係が多いが、自社は9時〜5時まで決まった机で仕事をする典型的な日本企業タイプ。会社の組合で長年テレワークを求めてきて、今回のコロナ禍でようやく認められた。現在は週一で在宅勤務だが、組織的には旧来型の全員出社が希望の様子。社内の上の世代の人との働き方への価値観の違いも感じている。コワーキングスペースは仕事以外の書き物や勉強用に利用したことがある。

神谷:私のオフィスも、似たような感じですね。お客様からの電話への対応業務があるので、自粛期間中でも100%テレワークベースの勤務ができなくて、今も基本的に出社しています。ただ、非常事態においてどのように勤務形態を変えていくべきなのか、上司もこれが正解だというふうに決断することがなかなか難しそうだとは感じていて。会社内が内にこもっちゃっているような状態なんですよね。


神谷恵子さん。化粧品メーカーに、カウンセラーとして勤務。オンラインショップのみの運営のため、社内でお客様のお悩みに電話やメールでお答えするのがメインの業務。7月に育休から復帰し、現在は毎日出社。オフィスはマンションの一室なので、ちょっと手狭に感じている。また、社内での電話応対がマストなため、テレワークベースの勤務が難しい。他の働き方や、コワーキングスペースに興味あり。

佐倉:私は会社と自室の他に、会社が契約しているサテライト型のオフィスを使っています。気力的に家で仕事をするのは無理かも……みたいな時に使ったり、打ち合わせついでに仕事をして帰るというような使い方をしています。

ある程度裁量がある職種なので、仕事する時間や場所など自分で好きにできるのですが、それこそ一長一短。私は企画職なのですが、アイデア出しや企画は人に会うことが大事なんですよね。特に在宅で仕事をしていると、人とのシナプスで生まれるアイデアがだんだん出にくくなってきてしまって。いろんな働き方ができるという前向きな面はありつつも、これからどう働いていくのがいいか、というのは悩みますね。


佐倉海凪(仮名)さん。企業に企画職として勤務。クライアントの販促を企画・制作するディレクター。現在は会社勤務と在宅とが半々。在宅勤務が増えたことで、人と会うことが減ってアイディア出しなどに不便を感じることも。会社はフリーアドレス制で、固定の席はなし。また、会社で契約しているサテライト型のシェアオフィスもたまに利用する。

木村:私は秋田県秋田市に在住しているのですが、今日はみなさんの働き方を知りたいと思って、飛行機で来ました(笑)。仕事はフリーランスの方々が集うプラットフォームのような会社を運営していて、秋田市をベースに、2時間圏内の移動先にそれぞれ固定の場所を設けて、そこで作業をするという形をとっています。

首都圏での仕事も多いし、共同代表が神奈川の湘南にいるので、東京にも作業場所を見つけたいと思ってシェアオフィスを探しているところです。でもなかなか東京で自分たちにフィットするところが見つけられていないのが悩みです。


木村志帆さん。秋田県在住の、コミュニケーションディレクター、プロデューサー。秋田市を拠点に多種多様な専門家で構成されるクリエイティブカンパニー「RURBAN LLC.」の共同代表を務める。オフィスは秋田市のシェアオフィス内にあり、基本的にはそこへ出勤する形を取っているが、オンラインの打ち合わせや東北県内を車で移動して、その移動先で仕事をすることも。また首都圏での仕事も多いため、東京のコワーキングスペースをドロップインで利用することも多い。現在、東京でシェアオフィスを借りたいと考え中。

野村:多拠点を移動しながら働いているんですね。

木村:今、移動手段や仕事面でのオンライン化が進んで、以前より地方をベースにして働きやすくなって来ているなと実感しています。私自身がその実践をすることで、例えば東京にいる秋田出身の人たちにも、地元をメインにしてこういう働き方をしている人がいるよ、ということを提案したくて。

課題:「人と出会いたい」「仕事とも家とも違う場所がほしい」

野村:お話にも出ていたように、仕事環境がオンライン化する場面も増えていますが、コロナ以降、お仕事やそれ以外の環境が変わったという実感があれば、具体的に教えていただけますか?

林原:私の会社は4月の緊急事態宣言で否応なしに在宅勤務になった時にも、例えばお金を扱う部門や総務系の人たちは在宅勤務ができなかったんです。もちろんその中にはお子さんがいらっしゃったり、ご自身が健康に不安を抱えていらっしゃったりする方もいて、在宅したいのにできないという状況が一部で生まれてしまって。

逆に私たち在宅組は会社にたまに出社するのが嬉しくって、オフィスでちょっと浮かれちゃったりするものだから、そこにすごい温度差ができてしまったんです。会社としてそういう不平等が出てしまったことはすごく残念だし、自分もそのときはその差に気づけなくて、その方々が不平等な状態で働かされていたことに対して、今でもすごく申し訳なく思います。


神谷:私の周りには美容業界の人が多いので、お客さんと会ったり話したりするために、今も特定の場所に通っている人ばかりです。やっぱり職種を問わず労働する場所を選べたらいいなと思いますよね。

それから私自身は出勤しているんですけど、育休明けから復帰したばかりということもあり、復帰したら出会えると思っていた新しいコミュニティや人と知り合う機会がかなり減ってしまっていることが寂しいですね。今はなかなか難しいけれど……。

佐倉:そうですよね。新しいコミュニティという話がありましたけど、お仕事とも家とも違うスイッチを増やすのが難しい状況だなあと思います。コワーキングを使えるとしても、場所は選べるものの、人と集まって何かするっていうムードではないですもんね。

木村:5年前からランニングのコミュニティを主宰してるんです。当日飛び入り可能で、誰でも参加OKのグループランなのですが、子どもからお年寄りまで来てくれていて。緊急事態宣言の間はもちろん休止していたのですが、少しだけ落ち着いてゆるく再開した時には、多くの人が、ランニング自体はもちろんですけど、人との交流を求めてやってきた印象でした。

そういう仕事抜きでのレクリエーションができるコミュニティと、仕事ベースでのコミュニティって、また別個なんですよね。仕事だけではなく、レク的なコミュニティを求めている人が多いのだと改めて強く感じました。


課題:「いつでもどこでもアクセスできるから、オンラインに疲れてしまう……」「仕事と生活の切り替え方がわからない」

佐倉:テレワークという選択肢があることはありがたいのですが、今は状況的に人と会いづらいからそれを選んでいるという背景があるので、自分が積極的にその働き方を選んでいるという自覚を持つのは難しい。私はオンラインにちょっと疲れている部分もあります。

木村:どこからでもアクセスできるからこそ、オンラインだと逃げられない部分がありますよね。気が進まない飲み会も断りにくい……(笑)。私自身は、固定の拠点をもたない働き方をずっとしてきたので、コロナ前後で働き方という意味では変わっていないのですが、オンラインで人と付き合うときの「見えない縛り」に関してはすごく意識しながら過ごしています。物理的な縛りがなく、オフだった時間にも入り込んでしまう手法だからこそ、自分にこう生きたい、こう働きたいという軸がしっかりないといつのまにか流されてしまうんですよね。

佐倉:私は自己管理が苦手な方だから、ずっと在宅で働くことがあまり向いていないことに気がついたのですが、それはやってみないと分からなかったことで。やってみることで、自分に合うやり方が見つかっていくという感覚はありつつも、現状はまだすごく迷走している感じがあります。例えば、朝洗濯をして、仕事して、買い物に行って、また仕事をする……ということをしていたんですけど、それだと感情があちこち揺れてしまって生活と仕事とのスイッチの切り替えが大変で。

神谷:私は子どもがいて時短勤務なのですが、会社に行かなくてもできる仕事って、電車の中や、家に帰って子供が寝た後にできてしまう内容なので、どんどんスイッチの切り替えがなくなっていく感覚はわかります。家にいて時間ができると「家事をするべきか」「仕事をするべきか」、常にうっすら考えている状態で生きてますね。

佐倉:そういうシームレスな働き方って、自分の中で慣れていったり、切り替えがうまくなったりしますか……?

神谷:慣れてはいくのですが、今のところの結論は、仕事を家ではやらないと決めた方が捗るということですね(笑)。その方が、スイッチが働いて仕事の能率が上がる実感はあります。


木村:私も家で絶対に仕事をしないようにしていますよ。オンラインのツールを使っているからこそ、自分で意思表示しないと、例えば夜10時からミーティングを入れられてしまうかもしれませんよね。裁量がありすぎると、ルーティーン作業じゃないゆえに自己管理がものすごく大変になってくる。「ここからここまでは家族の時間」というように、自分の時間割を自分でガッチリ管理することが大事だと思う。

仕事と生活を切り替えるための具体的なノウハウを共有。アプリの見直しや、用途に合わせた場所選び

佐倉:仕事と生活のバランスを管理するために、木村さんがやってみてよかった方法はありますか?

木村:まずは自分が使っているアプリを見返してみるのがおすすめです。仕事で使っているアプリを精査して必要に応じて削ったり、家にいる時間は通知を切ったり。いつでも通知がきてしまう状態だと大変だし休まらないから、家に帰ったらシャットダウンの意思表示をすること。スラックも「休暇中」のヤシの木マークを出しています(笑)。


竹中:オンラインであっても、ちゃんと切り替えることを自他ともに表明することが大切なんですね。

木村:うちの会社のメンバーにもオンオフの切り替えは徹底してもらうようにしています。夫と仕事の話をすることもありますが、家ではなくスタバに行ったり。仕事の話は仕事の場所でして、家ではただ『アメトーーク!』を観て笑っているような状態を保っています(笑)。そこをかっちり分けなかったことで、お互いの関係が上手くいかなくなった経験があるので、用途に応じて、使う場所を分けるようになりました。

仕事場に関しても、サードプレイス的な場所と、メインの仕事場を分けていて。メインの仕事場ではじっくり腰を据える仕事をして、日本のいろんなところにたくさんあるスタバのようなチェーン店には、何か思いついたときに駆け込んでアイデアを書き出したり、ちょっとした連絡をするためだけに行く感じです。用途と場所をあらかじめ決めておくと、どこでやろうかな? と考えなくて済みますよね。職種的にもディレクターというのは考えることが仕事なので、余計なことを考えなくていいように環境を整えています。

林原:すごくいいアイデアですね……! 仕事とプライベートは切り替えるべきってよく言われますけど、なかなか難しい。でも、この場所は仕事場で、ここはプライベート……とセットにしてしまえば、体感として段々慣れていきそう。それで言うと私は、仕事とプライベートを分けるために今年引っ越しました。寝る部屋と食べる部屋と仕事する部屋を分けたんです。

私の場合は、部屋の中で用途を分けましたけど、木村さんの話を聞いて、家以外のサードプレイスのような選択肢もやっぱりありだなと改めて思いました。

家でも会社でもない働く場所の選択肢。シェアオフィスやコワーキングスペースに求めているもの

野村:これまでのお話にもあった、家でも会社でもない働く場所の選択肢は、これから必要とする人が増えそうですよね。シェアオフィスやコワーキングスペースというのも一つの選択肢になるだろうと思うのですが、みなさんはそういう場所がもっとこうだったらいいなとか、こうだったら使ってみたいなというのはありますか?


野村不動産が運営するサテライトシェアオフィス「H¹T」

林原:まさに家と会社じゃない場所がほしいなと思って、全国に展開しているコワーキングスペースにしばらく登録していたんですけど、あちこちにあって、カフェ感覚で使えるのはよかったです。

佐倉:私自身はコワーキングスペースを利用したことはないのですが、以前、仕事相手の方が指定された打ち合わせ場所がとあるコワーキングスペースだったことがあって。そこは受付もなく、カジュアルな雰囲気だったのでちょっと驚きました。ビジネスで利用する時は、受付や待ち合わせスペースがないと、「この人は信頼できるのかな……?」と相手に思わせてしまう可能性があるんだと、その時に感じましたね。

あとは、コワーキングスペースには飲み会などの交流がたくさんあるというイメージもあります。使用している友人が、それに参加しなきゃいけないといった空気があると言っていて、それは少しつらいかな……と思いました。わがままだなとも思うのですが、人と話したいけど、強制的な感じになるのはまた違うのかな……と。

竹中:知り合いをつくりたいという意思があって登録するのであればそういう場所も楽しめることもあるかもしれませんが、必ずしもそうではない目的でコワーキングスペースを活用することもありますもんね。

野村:安心や安全が保たれているのは大前提として、自分が求める感覚や距離感はなにか把握したうえで、フィットするコワーキングスペースが見つけられるといいですよね。佐倉さんは、会社で契約しているサテライト型のシェアオフィスも使用されていて、そのシェアオフィスが提供しているホテルの1室を貸し出すサービスも利用されたということでしたが、実際いかがでしたか?

佐倉:コロナの影響で空室になってしまっているホテルの一室を、コワーキングスペースとして貸し出すという取り組みをしていて、打ち合わせで銀座へ行った時に、このホテルで仕事をして帰ったら幸せかな? と試してみたんですけど、アクティビティになってしまう感じはありました。普段と違うことでリフレッシュはされるけれど、仕事のことを考え抜くにはものが多すぎるのかなと。ホテルの一室だからベッドなどもあるし。

竹中:寝ちゃいそう……(笑)。

佐倉:そうなんです(笑)。眺めはいいけれど、テレビがあったり、デスクは小さいし、やっぱり仕事用の場所ではないなと感じます。


竹中:コワーキングスペースにこういうものがあったらますます使いやすいなと思うものやサービスはありますか?

佐倉:シェアオフィスだとお昼をどこで食べていいか、曖昧なところが多いですよね。オープンスペースで飲食OKということになっていても、においは大丈夫かな……? と気になってしまうので、はっきりここは食べていいよみたいなところがあるとすごく嬉しいです。

それから、今は人に限らず偶発的な出会いがすごく減っているので、文喫とか蔦屋書店みたいにいろんな本を置いて購入できるようなサービスがあったらすごく素敵だと思う。

一同:めっちゃいい~!

木村:私は東京で作業できる場所を探しているのですが、「H¹T」はオープンスペースとは別に会議室や個室があるのと、緑が豊かなところが個人的に好きです。


オープンスペースにくわえて別に会議室や個室も設置


神谷:訪れてみて、カフェとオフィスの間のような雰囲気だなと感じて。しっかりした安心感もありながらリラックスできる感覚もあって、個人的に心地いいなと思いました。



恵比寿にある「H¹T」では、ITOKIのvertebra03の椅子を設置

木村:秋田で使っているシェアオフィスでも意識したことなのですが、仕事場も自分たちが大事にしている哲学と共鳴するような場所を選びたいんです。自分の大事だと思う哲学を、生活に散りばめたい。そう考える人は多いんじゃないかなと思うし、それを基準に場所を選ぶのはひとつのやり方としてありなのではないかなと感じます。


H¹T相模大野のブース


H¹T大手町のルーム

野村:確かに、自分が大事にしている哲学にあわせて場所を選ぶというのは、ひとつの指針になりそうです。「#わたしにちょうどいい働き場所」のプロジェクトでは、今回みなさんから集まった課題をもとに、働く場所にまつわる専門家の方々とお話しする機会をつくっていく予定です。そちらも楽しみにしていただけたら嬉しいです。今日はありがとうございました!